座禅とは

禅は、2500年以上にわたり磨き上げられた、すばらしい「人間形成の道」です。
禅は、学問でも、信仰でもありません。
難行苦行の修行でもありません。
座禅によって心の中の雑念を洗い落とし、心を磨いていく正しい「行(ぎょう)」を重んじる修行法なのです。
 集中力を身につけたい、健康のため、人生に迷っている、等々、座禅をはじめられるきっかけはさまざまですが、座禅によって、生きることの本当の意味をかみしめ、一度だけのかけがえのない人生を深く味わいたいものです。

会社に行ったり、学校に行ったり、普通の社会生活をしながら修行する禅を居士禅と言います。
当道場には、そんな仲間がたくさん集まっています。

 

 

座禅の仕方

 

座禅は、調息(呼吸をととのえる)、調身(坐相をととのえる)、調心(心をととのえる)、の三つを基本とします。はじめての方は、慣れない姿勢のため窮屈に感じ、腰や足が痛みます。慣れると、もっとも安定して長く坐れ、三昧に入りやすい姿勢であることが、おわかりになるでしょう。



坐る場所:
適度な明るさで、静かな室内がよいです。

坐る時間:
線香一本が燃えつきる時間(線香一本分、約45分)を基本とします。
20分位から始め、少しずつ長く坐るようにするとよいです。

服装:
着物に袴(はかま)のように、ゆったりした服装が望ましい。洋服の場合は、太めのズボンや、ジャージのような、坐りやすいものを着用するとよいです。女性でスカートを着用する場合は、長めのフレアスカートなどがよいです。

坐具:
座布団を、下に一枚敷きます。その上に、座布団を二つに折って、自分に合った高さに重ねます。座布団の高さは、足の痛さや坐禅の効果に著しい影響を与えます。自分でもっとも安定した高さを、工夫してください。

 

足の組み方:
正式には、右足を左ももの上にのせ、左足を右ももの上にのせる組み方をします。これを「結跏趺坐(けっかふざ)」といいます。

 
結跏趺坐ができない方は、左足を右ももの上にのせる組み方でもよい。これを「半跏趺坐(はんかふざ)」といいます。(足の組み方は反対でもよい)どちらの組み方でも、両ひざが畳より浮かないように坐ることが大切です。女性の場合は、正坐も許されています。 
 
頭、あご、口の姿勢:
頭は、前かがみにならないように立てます。あごは、軽く引きます。耳と肩が相対し、鼻とへそが相対するようにします。口は、軽く結びます。舌は、上あごの内がわにつけます。

手の組み方:
手のひらを上に向け、右手を下に、左手を上にして重ねます。両手の親指は、先端がわずかに触れる程度に軽く支え、左右の親指で大きな卵が置けるような、楕円形を作る形をします。これを「法界定印(ほっかいじょういん)」といいます。肘を脇につけないようにして、この手を自分の体の方へ引き寄せます。 
 
目のおきどころ:
まっすぐ前方を見ます。つぎに、視線を1メートル位前方に、自然に落とします。見つめるのでなく、そこに止めておくのです。これを「半眼に開く」といいます。目を閉じてはいけません。閉じると眠気をもよおします。逆に開きすぎると、雑念が入りやすくなります。
 
呼吸の仕方:
呼吸は鼻で、静かに、自然にします。意識的に深呼吸や、腹式呼吸をする必要はありません。呼吸は、「自然にまかせる」ことが大切です。坐禅を続けていると、息は自然に深くなっていきます。

正しい坐相:
坐具の上に五輪の塔を据えたような気持ちで、ドッシリと腰を落とします。背すじはピンと伸ばし、肩やひじの力をぬきます。無理に下腹に力を入れる必要はありません。坐禅を続けていると、自然と下腹に「気」が充実していきます。
つぎに体を前後、左右に揺らします。はじめは大きく、しだいに小さく揺り動かします。これを「揺振」といいます。そして、尾てい骨と両ひざで作った正三角形の中心に体の重心が落ちるようにします。そこが安定した位置になります。

呼吸も坐相も「自然にまかせ」安定感を保つことが大切です。「坐相正しければ、心これに従う」といわれています。ぜひ、正しい坐相を身につけてください。
坐相を整え呼吸を整えた後に心を整えます。そのために、「数息観(すうそくかん)」を実修します。